殺処分される引退馬について考えてみた

年間7000頭の引退馬が殺処分されている。

 

殺処分されたあと、ペットフードになる。

処分される前の馬のなかには、自分が殺されることを察知して涙を流す馬もいる。

このことについて、「経済動物だから」とか「牛や豚は食肉のために殺されているのだから馬も同じ」と割り切れるだろうか。

 

今資本主義は崩壊しかけていて、生き方を見直そうという動きが出てきている。

「お金さえあれば幸せになれる」ということが幻想であることがわかった。

 

これからの世界は、お金を求めない生き方にシフトしていくことになるだろう。

お金は必要だけど、それ以上に必要なことがある。

 

馬券を当てて喜ぶ一方で、毎日殺処分場に送られる馬がいることを考えると心苦しくならないだろうか。

 

もちろん、競馬を否定しているわけではない。

競馬は、人に元気を与えたり癒やしを与えてくれる。

だからこそ、不幸な馬を少しでも減らせたらいいなと思う。

 

 

 

そもそもなぜこんなにたくさんの馬を殺処分しなければならないのだろうか。

 

それは、たくさん産まれるから。たくさん種付けするから。

 

種付け頭数が100頭を超える種牡馬も多い。

 

「2019年種付け頭数」 

ロードカナロア

ハーツクライ

ドゥラメンテ

ルーラーシップ

ハービンジャー

キズナ

ダイワメジャー

スクリーンヒーロー

エピファネイア

ジャスタウェイ

モーリス

ヘニーヒューズ

キタサンブラック

ドレフォン

サトノダイヤモンド

ゴールドシップ

ブラックタイド

オルフェーヴル

リアルスティール

キンシャサノキセキ

リオンディーズ

パイロ

ファインニードル

デクラレーションオブウォー

マクフィ

マインドユアビスケッツ

リアルインパクト

シニスターミニスター

シャンハイボビー

ヴィクトワールピサ

マジェスティックウォリアー

タリスマニック

エイシンヒカリ

サトノクラウン

ディスクリートキャット

イスラボニータ

ミッキーアイル

エスポワールシチー

アメリカンペイトリオット

ダノンバラード

ラブリーデイ

ホッコータルマエ

シルバーステート

ダンカーク

コパノリッキー

フリオーソ

ビッグアーサー

カレンブラックヒル

サトノアラジン

アジアエクスプレス

レッドファルクス

ミッキーロケット

ビーチパトロール

ロゴタイプ

ダノンレジェンド

ベストウォーリア

バゴ

トゥザワールド

 

245頭

180頭

184頭

225頭

217頭

164頭

155頭

118頭

224頭

214頭

212頭

170頭

110頭

204頭

144頭

107頭

80頭

52頭

177頭

156頭

153頭

126頭

101頭

152頭

105頭

155頭

118頭

115頭

108頭

104頭

141頭

113頭

94頭

207頭

143頭

142頭

142頭

138頭

109頭

108頭

94頭

208頭

157頭

156頭

159頭

175頭

155頭

108頭

90頭

172頭

132頭

117頭

109頭

90頭

126頭

158頭

110頭

96頭


このような優秀な種牡馬たちのおかげで日本競馬のレベルが上がっているのは事実。

 

でも、もう十分じゃないだろうか。

 

ドバイや香港だけでなく、イギリスやオーストラリアでもG1で勝つ馬が現れたのだから。

 

これからは「たくさん産ませてレベルを上げる」のをやめて、ほどほどに産ませて、そのぶん一頭一頭を大切に育ててもいいのではないだろうか。

 

地方競馬で走っている馬は、中央競馬で活躍する馬と比べて血統的に良血とはいえない。

地方競馬の馬は引退すると、牝馬は繁殖牝馬になれても、牡馬のほとんどは殺処分行きになると思っていい。運の良い馬だけが乗馬か養老牧場に行ける。

 

私の提案

  1. 地方競馬向けの血統の繁殖を減らす。
    育てても、セールで高い値がつかない(地方競馬向き)と予想される組み合わせの交配はやめる。地方競馬ではどれだけ頑張っても賞金額が低く、引退後は殺処分の対象になりやすいから。たとえるなら、「ピラミッド構造の底辺の数を減らす」といったところか。
  2. AIを利用して、強い遺伝子の組み合わせを探索する。
    無駄をなくす。
  3. 怪我をしにくい育て方を模索する。
    たとえば、1月生まれの馬は生後、太陽光の照射時間や運動量が短いため骨の成長が悪く、4月生まれのほうが丈夫。
  4. 種付け頭数に制限を設ける。
    たとえば、100頭までくらいにすればいいと思う。これだけで2000頭くらいは減らせるのではないだろうか。

95:5の法則

 

野生馬の雄(ボス)は、1年に5頭くらいしか交配しない。

交配は、95:5の法則で5%の「非日常の行動」に当てはまる。

1日の時間の5%が非日常に当てられる。

本来、交配は非日常の行動のはずなのに、4ヶ月間毎日種付けさせられたら、どんな健康な馬でも寿命が縮むのではないだろうか。

 

しかも、本来交配は牝馬と牡馬の駆け引きの中で行われる。

 

その儀式(駆け引き)を省いて「はい、どうぞ」と2頭を引き合わせる方法は、何とも味気ないものではないだろうか。

これではまるで、体外受精のために男性にエロ本を渡して「ここに精子を採取してきてください」と言い放つ看護婦のようだ。

 

もし馬が話せたら、どう思っているのか一度聞いてみたいところだ。

 

↓「種付け時に頭を蹴られて亡くなってしまった種牡馬」の動画

Horse gets kicked in the head and dies 

他の動画で解説されていた。蹴られた原因は、牡馬の頭が固定されていたからではないか、とのこと。
自然に交配する場合、お互いが警戒して、相手から蹴られそうなら避けたりできるけれど、この牡馬はオーナーがずっとロープを持ったままの状態だったため頭を蹴られてしまった。
明らかにオーナーの落ち度。一般には、このような状態での交配はありえないと言っていた。

それでは、小規模生産牧場は廃業してしまうのではないか?

 

種付け頭数を制限していない今でも、少しずつ廃業している。
このような牧場にはJRAがベーシックインカムのようなものを支給して、廃業しても暮らしていけるようにする。
日本の競馬は昔からの小規模牧場がなければ成り立たなかったのだから、労いの意味も込めて保障するのが当然だと思う。

空いてしまった放牧地は、JRAが買い取って養老牧場にすればいい。

さらに、JRAは全国各地の休耕田や山林を買取り、開拓して養老牧場を作る。

養老牧場には宿泊施設を設け、ボランティアを募る。

ボランティアは馬のお世話や掃除をする代わりに無料で宿泊できるようにする。

 

 

まずは、年間殺処分される頭数を7000頭から4000頭くらいにまで減らす。(=生産頭数を減らす)

毎年少しずつ減らしていき、最終的には殺処分数ゼロを目指す。

 

そして私の夢(妄想)は、養老牧場がパドック・パラダイスを採用することによって、人手を減らしつつ持続可能な馬の保護施設として成り立つこと。 

 

馬は野生の中で何億年も生き延びてきた。

本来、人の世話など必要とせずに生きられる動物なのだ。

 

人に飼われていた馬を今すぐに自然に返すのは無理だけど、徐々に自然に近い生き方をさせることは可能だと思う。

 

余談

 

馬が予後不良の骨折をしたら安楽死させるという発想は、ヨーロッパからきている。

もちろん、獣医学では救えないから仕方のないことなんだけど、乗馬や競馬での馬への対処法はヨーロッパの思想に基づいて行われている。

 

だから、競馬に向いていない肢の形をした馬が生まれると、「廃用」扱いされ殺処分される。

役に立たないなら捨てるのが西洋の思想。

 

黒人奴隷の歴史を見ればわかるとおり、昔のアフリカの黒人はキリスト教徒にとって「人ではない」とされ、動物と同じように扱われてきた。白人の主にとって必要ではなくなったら売り飛ばされた。

 

 

ならば、日本の競馬は日本の思想を採り入れてみてもいいのではないだろうか。

日本人はモノを大事にする。

モノに愛着を持ち、壊れても修理してできるかぎり使う。

他人に対しても、動物に対しても、相手の立場になって考えてあげられる。

そのような共感力が日本人の良さだと思う。

「他人にされて嫌なことはしない」と教えられて育ったからこその共感力。

 

日本は世界に通用する強い馬を育てることに成功したのだから、これからは強さを保ちつつ犠牲を少なくする馬産を目指してみてもいいのではないだろうか。

 

競馬が始まってから100年以上立つのに未だに予後不良の故障が起こっている。

これだけ技術の発達した時代なのに、本当に重度の骨折を治す方法はないのだろうか。もしくは、未然に防ぐ方法はないのだろうか。


youtubeを見ていたら、廃用について言及されていた。

血統の組み合わせでだいたいの価格が予想され、さらに実際に歩いている姿や獣医による検査結果など詳細が加味される。

そこで評価された馬は高額の価格がつけられるが、血統もそれほど魅力的でなく母馬が高齢出産の場合、「廃用されるレベル」とみなされる。
まだ走っていないのに、悲しすぎる。

※廃用とは、役に立たないために殺処分されること。
https://www.youtube.com/watch?v=TxZW8o-3JB8

 

 

 

引退馬について考える【That’s Nuts Radio】

 

TCCホースセラピーパーク

 

NHK TCCセラピーパーク(引退競走馬のセカンドキャリア)

 

引退馬を救えない現状がここにある!引退馬を救う本当の課題が直面!